心動くCD・本・映画などのご紹介 | 株式会社ローズプラネット 東京都武蔵野市

心動く作品

おすすめCD

イン・ニューヨーク
宮沢明子

コロムビア

このCDを聴くまでガルッピという作曲家がいることなど知りませんでした。チェンバロ奏者でもあった彼のソナタ、 こんなに美しい曲があるなんて…。いつか生演奏で聴く機会があることを願っています。

このあとはCDの発売がないので、ガルッピを聴くならこの1枚しかありません。入手は困難ですが。ほかにスカルラッティのソナタが5曲、ショパンの「カンタービレ」「コントルダンス」、遺作のノクターン2曲とバッハの「主よ人の望みの喜びよ」「シチリアーノ」を収録。

ブルックナー 交響曲7番
ヴッパータール交響楽団

指揮/上岡敏之 レーベル/コロムビア

上岡さんの演奏(指揮ではなくピアノ)を初めて聴いたのは武蔵野市民文化会館でのエレーナ・フィンクの歌の伴奏。
 アンコールのシューマンの「月夜」を弾き始めた途端に会場の空気が一変。穏やかで豊かな気持ちになり呼吸が深くなっていきました。この人が指揮をするとどんな音楽になるのか。
 ひとつひとつの音を聴き逃すまいと全神経を集中してしまう心地よい緊張感に包まれる。彼の演奏会での楽しさは曲が終わったあとの静寂さにある。3秒…5秒…10秒、 客席とオーケストラとの静かなエネルギー交換が至福の時となる。困ったことがひとつ。
 彼の演奏を体験するとほかの演奏がもの足りなくなってしまうこと。耳と心が彼の音楽を追いかけてしまう。

おすすめの本

「生ききる。」
瀬戸内寂聴/梅原猛

角川学芸出版

昨年の東日本大震災後の対談。話は震災に関連した話から、ふたりの歴史観、死生観、仏教や文化について、『源氏物語』にまで広がっていく。寂聴さんの「…生々流転、移り変わるということが世の常なんです」という言葉、理屈でわかってはいても、受け入れられないことが多いのも事実。覚悟を決めて生きる、死の覚悟を持って生きるということを身をもって学ぶしかない。「法灯明、自灯明」、法を拠りどころとして、自分自身を拠りどころとして自分に責任を持って生きるということが問われている。権威や他者に頼るのは一時的には楽だけれど、自分でまいた種は自分で刈り取るということからは誰も逃げられない。中身の濃い1冊です。

ストラディヴァリウスの真実と嘘

中澤宗幸著 出版/世界文化社

タイトルから受ける印象の楽器の真贋というものではなく、ヴァイオリンの構造や製造の歴史など、興味深い。使う人の生き方、心がまえが楽器を生かす…当然のことだと思うけれど、感謝の気持ちがない人も多いとか。
 技術の前に人間性をみがかないと…というのは著者だけではなく多くの心ある音楽家たちが危惧している。自分の内なる思いを表現することが芸術家の使命だと思うけれど、なくても演奏している人は多い。
 自分の心と向きあう真摯な演奏家が増えてほしい。

おすすめの映画

地球交響曲
ガイアシンフォニー 6番

制作/龍村仁事務所

「音」がテーマの第六番。「繁栄」と引き換えに、私たちは自然が発する響きを感じる能力を失ってしまったのだろうか。
 本編のクジラの歌も、ラビ・シャンカールのシタールも素晴らしい。それ以上に惹きつけられたのが「虚空の音」として収録されている弓、天然空洞木(ディジュリドウ)、コアガラスの笛、磬(おと・鋼の板を並べた楽器)からは自然との調和があってこその音楽だと再認識させられる。
 自然への畏怖の念を取り戻した時に、龍村監督の言う「全ての存在は、時空を超えて響き合っている」を本当に理解できるのだろう。
 ガイアシンフォニーは鑑賞する人が、今、求めているものを映し出す映画かもしれない。昨年の東日本大震災や台風で多くの命が失われたけれど、第3番での「世界は必ず悲劇的な側面を持っているし、それが現実です。しかし、悲劇的であるからこそ希望もあるのです」と語る宇宙物理学者、フリーマン・ダイソンの言葉に救われる気がする。このシリーズはできればすべて観てほしい。

おすすめの舞台

「寿歌(ほぎうた)」&「ザ・シェルター」

作/北村想   演出/大杉祐
出演/加藤健一 小松和重 日下由美 占部房子
3月2日~11日  会場/下北沢・本多劇場
加藤健一事務所

カトケンのお芝居を初めて見たのは「セイムタイム・ネクストイヤー」だった。
とにかく楽しくてしかたがなかった。それからはもうヤミツキに。でも楽しいだけではない。
「審判」では逃げ場のない重苦しい気持ちに押しつぶされそうになる。椅子から立ち上がり劇場を出てしまいたいほど。でも立ち上がれない、何かが引きとめてしまう
。  舞台の彼を見ながら自分自身の心と格闘していることに気づかされる。
笑い、泣かされ、自己と向き合うことになるカトケンの舞台。今回の2本立ては初めて見るけれど、とても楽しみ。