ローズプラネット

音楽会・美術展・個展企画 東京都武蔵野市

閑話休題:37~WIth All My Heart 録音秘話*その1

昨年に引き続き、試聴コーナーではベートーヴェンのソナタを提供していますが、

第2楽章をお聴きいただいているでしょうか? この第1弾を録音したのは2014年1月。

昨日のことのように感じます。スタジオとして使用したのは三鷹市芸術文化センターの

風のホール。ホールの響きをも楽器として考える録音会社N&Fのこだわりが随所に

生かされています。誰もいない演奏もしていないホールで無音を録音!

1月の寒さのなか、エアコンはもちろんオフ! 振動音が入るといけないから…とか。

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バレエの舞台やお芝居を見ていてもときどき感じることは、天才は周囲を巻き込む!

周囲を本気にさせるということ。この録音の日、ピアノ調律が終わり、リハーサル、

もう少し弾きこんでから本番スタートかと思っていたら、即本番開始。

サティ、クープラン…と続くなか、プロデューサーいわく「100回以上録音している

ピアニストだから、どう録音してどう進めるかがわかっているから本人にお任せ」。

ピアニスト本人だけがステージ上で演奏し、私たちはホールの外の舞台袖で演奏を見守る。

録音が進むなか、そんなプロデューサーの目の色?が変わってきた。何だか熱い!

ベートーヴェンのソナタを1楽章、2楽章、3楽章になるにつれ、テンションがアップ!

楽譜を片手にプロデューサーがステージに歩み寄り、「ここはもっとこうしてほしい!」

その真剣な態度に「私が弾いてるのはピアノなのよ! オケの演奏じゃないんだから、

そこまで強弱をつけるのは無理!」…プロデューサーは自らオーケストラを作り

指揮をしている方ゆえ、自分の音楽の感性に近づけられそうだと思って、またそれに

応えられるピアニストだと思ったためなのか楽器がピアノということを忘れてしまった?

要求というのは、『フォルテ、もっとフォルテ、さらにフォルテ!』というもの。

その要求に、「じゃあ、もう1回弾く」、OKが出ても「もう1回」、「あと1回」。

「指が壊れるから、もう弾かなくていい!」というのも無視、さらに弾いて、テイクを

確認するためにホールから出てきたときには指は真っ赤、彼女の腕からはもうもうと

湯気があがっていたのでした。そんなふたりのやり取りを見ていて「本気にさせるって

すごいなぁ、こんな録音現場に立ち会えてラッキーだなぁ…」と思ったものです。

次回の試聴コーナーではその第3楽章の最後の部分をお聴きかせしますね。お楽しみに。

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